発達障がい・気になる子について多分世の中のほとんどの人が誤解していること

一般的に「障がい」というのは、「あの人は障がいがある人で、健常ではない」「手や足がない、耳が聞こえない」あるいは「あの子は発達障がいで普通の子と違う」、

そういう人のことで「我々」とは違う、そういうイメージを持っているのではないでしょうか。

これは、その人に症状でラベルを貼る行為にすぎないのですが、「障がい者」という言葉が、一般人と区別して存在する者という意味で使われているのが、現状だと思います。


しかし現在の「障がい」という考え方は、もっと広い意味で捉えられています。

それは、「障がい」=「本人や周りの困り感」に基づくのだということです。

 

例えば、「視力が悪い」ことは、障がいだと思いますか?

 

私が今言っている「障がい」で考えると、「視力が悪い」ことで、コンタクトレンズがないと生活に支障が出ている=困り感がある、となりこれも障がいと言えます。

しかし視力が悪い人は、コンタクトレンズを使えば、その困り感を和らげ、生活がしやすくなります。


一方で、全盲の人がいたとします。

この人も、目は見えない意味で「困り感」はあります。

しかし、点字があれば、本も読めます。盲導犬がいれば、街も歩くことができます。

これは、視力が悪い人と同じように、何かの助けを得て、その困り感を和らげ、生活がしやすくなっているだけだということです。

何も違いはありません。

 

今、視力が悪い人をあの人は障がい者だ、とは誰も言わないでしょう。

同じように、全盲の人も、あの人は障がい者だ、と一括りにして捉えることもなくなるようになればと考えています。

そうなれば、発達障がい・気になる子というのも、もっと普通のことで、その人の感じ方・考え方の特徴なのだ、と捉え、理解をしようという人が増えてくるはずです。

待機児童問題を解決する保育ママ(家庭福祉員)制度の課題

最近、知人からの紹介で、都内のとある自治体の保育ママ(家庭福祉員)と知り合いになりました。

保育ママは待機児童問題の中でも特に深刻な0~2歳児の待機児童を解決する施策として有力視されています。

また、子ども・子育て新システムにおいては家庭的保育事業として、急速に多様化しつつある保育ニーズに応えるものとして位置づけられています。

しかしながら、この制度は地方自治体が主導しているため、各自治体の行政側の認識にバラつきがあります。

結果として自治体により手厚く支援がされているところと、残念ながら満足な補助がまだまだされていないところがあります。

特に個人で保育ママをしている方は、情熱を持って保育に取り組んでおられる方が多く、足りない部分は自身の頑張りで補填しようと奮闘しています。

ですが、個人でできることには限界があります。

例えば、私の知人の保育ママの自治体では、子どもの保育に必要な補助員を雇用する費用の補助金がないため、委託費から捻出しなければならないのです。

そうすると、補助員への報酬はギリギリとなってしまいます。

また、受け入れる子どもが少ない時には補助員をお休みさせなければなりません。

このような就労環境では、有能な保育者が補助員として働きたくても生活ができず、やむを得ず別の仕事についてしまいます。

そのしわ寄せは、保育ママにすべて集まり、休憩も満足に取れないまま保育をし続けなければなりません。また、一人でずっと子どもを安全に保育しなければならないため、負担が大きい状態でのお仕事を続けていらっしゃる方も多くいます。

 

私は個人的に、こうした方々と連携して、保育ママの就労状況などを調査し、行政に働きかけるための支援を行なっています。

0~2才の発達段階では、家庭的で密度の濃い保育を行うことが重要であると言われています。

こうした保育ママによる家庭的保育を、単なる保育所不足のための処置ではなく、低年齢児の豊かな発達を促す効果が高い保育であるという認識を、もっと社会に広く認識してもらうこと。そして、行政関係者にもその認識を深め、保育ママとの連携を強くして、より良い保育をするための制度を強固にしていくことが望まれます。

「全国小規模保育協議会」設立記念フォーラムに参加してきました

横浜まで行ってきました。

せっかく行ってきたので、簡単ですが議事メモを公開したいと思います。

コメントは広くどなたでも書いてやってください。

※個人的なメモのため、内容に誤りがある可能性もあります。
 内容には十分留意していますが、予めご了承ください。 
 よろしければご指摘いただければありがたいです。 

 

■基調講演「新たな子ども・子育て支援制度について」

講演者:内閣府少子化対策担当参事官 長田浩志(ちょうだひろし)氏
 
◎新システムの3つのポイント
①社会全体で子育てを支えること
②消費税増額による増収分の0.7兆円+0.3兆円の追加財源で合計1兆円超の財源を確保すること(3党合意事項)
③教育、保育、子育て支援を一つの法律の中で規定すること
 
◎保育行政と財源の一元化
ずっと指摘されてきた、行政の縦割り(厚労相・文科省)を解消するため、子育ての制度を一つの法律に集約し、財源も一元化すること、そして内閣府が主導でシステムの構築を行う。
 
◎待機児童解消のための認定こども園増設と小規模保育新設
まず、待機児童問題の解消のため、認定こども園の増設をして、親の就労の状況に関わらず、同じ園を利用できるようにする。
また、小規模保育も同時並行で拡充する。
 
認定こども園と小規模保育の「都市部」と「地方」での存在意義
認定こども園は、都市部での待機児童問題解消という意味もあるが、地方については、子どもの減少により定員割れしている施設の生き残りのために、例えば既存の幼稚園が保育所の役割も果たすことでより多くの子どもを受け入れる意味もある。また定員20人を割った保育所は小規模園として存続するための制度でもある。
 
◎地域型保育給付:地域主導の保育制度構築
国の行政としては、市町村に裁量を与え、各自治体で保育ニーズを把握し、各地域の実情に応じた子育て支援事業の充実を図って欲しい。
そのため、地域型保育給付により、小規模保育に関する安定的な財源を提供することで、事業の安定性を確保することを狙っている。
小規模保育、家庭的保育(保育ママ制度)、居宅訪問型保育(シッター)、事業所内保育の利用に対して、個人給付される形態である。
また、給付の目的は0-2歳の待機児童が多い年齢層の解決であり、3歳以上は集団生活も保育の上で重要であることから、原則として給付は3歳未満を対象とされている。
(※ただし地域の状況などによっては3歳以上でも弾力的に運用することがあるみたいです)
 
◎小規模保育の質の確保
対策としては、小規模保育事業に対しては、認定こども園などをバックアップ施設として連携することが考えられている。
 
 
NPO法人全国小規模保育協議会のこれから
講演者:NPO法人全国小規模保育協議会理事長 駒崎弘樹氏
 
◎子ども子育て支援法について
子どものための大規模な予算投入は珍しいことであり大変意義深い。
20人未満の小規模保育が制度化されることで、保育ママ制度とは独立した施設として認められることになった。
地域型給付は一定の基準を満たせば開園できるため、これまでのような認可型の園よりも自治体からの縛りが緩くなるだろう。
 
◎小規模保育の健全な発展が必要
しかし無秩序な参入は保育の質を低下させる。
よって、業界全体として質の高い小規模保育の実現ができるようにするために、全国小規模保育協議会を作った。
 
◎全国小規模保育協議会の役割
①広報・視察事業
小規模保育を正しく世間に認知してもらうための事業。
現場視察の受入、参入者への助言なども行う。
②研修・交流事業
事業者、保育者同士でのノウハウの共有や専門的な知識の研修を行う事業。
③保険事業
小規模保育事業者が集まり安価で高質な保険がかけられるよう企画する。
④政策提言
今後新システムの詳細を詰めるにあたり、小規模保育事業者が集まって組織的な意見を投じていく。
 
 
■パネルディスカッション
ファシリテータ:駒崎弘樹氏
参加者:小宮山洋子氏(民主党衆院議員)、高木美智代氏(公明党衆院議員)、三上章彦氏(横浜市緊急保育対策部長)、長田浩志氏(内閣府少子化対策担当参事官)
 
◎小宮山氏
今回の法案は税法2法、社会保障6法で構成されている。
内閣府に子ども子育て本部を作り、厚労相・文科省の担当官がここに併任して一元的に行動することとした。
子どものための行政組織を最終的にどうするかは、これから2年の内に結論を出すことになっている。
 詳細は子ども子育て会議で詰めていく。
 
◎高木氏
保育ママ拡充、施設型給付だけでは待機児童は解消できない。
保育士の処遇も厳しく、処遇改善に充てるための一兆円財源の確保に向けて全力をつくす。
市町村に裁量を与え、総合的に保育施策を実施していくつもりである。
 
◎三上氏
横浜市ではNPO型家庭保育福祉事業を実行してきた。
現場からは、親は「密室性の中で大丈夫か」、職員は「病気で休みたい時休めずハード」という課題も浮上している。
待機児童0が目的だが、それ以上に必要な人に必要な保育サービスを適格に提供することが最大の目的であり、結果的に待機児童が0になるものと考えている。
そのためにも、小規模保育は絶対的に必要である。横浜市でも、地域によって保育ニーズは全く異なっており、それを満たすためには小規模保育で各地域の実情にあったサービスを提供する必要があるからだ。
市としては、そのために必要な保育サービスの基盤整備をしっかりやるつもりである。
 
◎小規模保育の課題①「バックアップ施設との連携について」
駒崎「近隣の認可保育所は競合であるという理由で連携を断るケースが出てくるのでは?」
長田「児童福祉法関連法の改正で、自治体には小規模保育認定に関する義務がある。必要があれば市町村がバックアップ施設との調整を行う」
 
◎小規模保育の課題②「物件確保と認定のタイムラグについて」 
 駒崎「公募を受けて対応した物件を押さえ続けるためにかかる家賃などの資金の支援はされないか?」
三上「横浜市では応募する段階で借りたテナントの賃料は出せない。ただし審査会で内定された時点で支払われるイニシャルコスト200万から補填することはできる」
 駒崎「そうなると、公募から決定までの期間を短縮することが重要だろう。小規模園を開園するまでの手続きは短縮されたものにできるのか」
長田小規模保育は市町村が認可権限を持ち、給付も行うため、これまでのように都道府県と市町村の意図のズレなどで認定手続が長期化することは防げるだろう。市町村の認可基準はこれからの議論となる。また新システムは平成27年から本格スタートだが、平成26年に緊急財源確保を行う。小規模保育は実体が少ないため増やすために財源を回すつもりである」
 
◎訪問型(シッター)保育への支援
 駒崎「新システムでは訪問型にも支援がされる可能性が出てきたが、具体的にどのような支援の形態となるか」
高木「まず、細切れ保育にならないようにする必要がある。また、地域子ども子育て支援事業の病児保育などとの棲み分けをどうするか、制度を整理する必要があるだろう。個人的には居宅訪問型事業については、特に施設での受け入れが難しい重度障害を持つ子と親のケアに必要とみている」
 
最後に会場からパネリストへの質疑応答が行われました。
 
質問者「居宅訪問を保育園の代わりにやるというイメージが強いようだが、実際は送迎サービスなども主流である。新システムにおける居宅訪問はどのようなサービスを想定しているのか」
長田「ファミサポなどもあるのでその中の位置づけで運営するか、小規模保育で給付化するか、制度として整理する必要がある。給付は恒常的なニーズへの対応、子育て支援はスポット的な対応を含んでいる」
小宮山「市町村で行うものは多様なメニューを用意し、財政支援を取る。地域の子育て支援会議ではこれをやる、ということをやりやすくやってもらうのが良いと思っている」
 
質問者「新システム以降、横浜市ではどうなるのか?認可外でやっているところは?」
三上「横浜保育室は認可外。新制度で生き残るには認可園となる、幼稚園型認定こども園、小規模型保育になるの3つの道がある。新制度への移行をスムーズに行うために新たな認可基準を満たす改装をする時には財政的支援なども必要となるため、事業者ごとにどう移行すればいいか考えていく」
駒崎「その他自治体でのいわゆる認可外園はどうなるか」
長田「新システムにおいては外形基準を満たしていれば供給過多などの場合を除いて認可は下りる。認可が下りない場合は理由が明確にされる必要がある。また、認可外園での勤務経験も保育士資格取得の条件に追加されるため、認可外園での人材不足による許認可がおりないケースも改善される見通しである」
 
質問者「地域型保育給付は認可園のようにきちんと給付されるのか?」
長田「従来の保育所と同等の機能役割を担ってもらうので、給付はきちんと行う。金額の詳細は平成26年の段階で話ができるようになる」
 
質問者「定員割れ保証についてどう考えているか」
長田「総論、小規模園だけでなく認可園でも、共通的に必要となる経費がある。給付は個人給付なので直接的に定員割れへの保証は難しい。規模に応じた給付単価を設定することになるだろう」
駒崎「定員割れリスクは小規模保育が最も高い。保証は必要」
 
質問者「ニーズ調査はどのようなプロセスで行われるのか。現在の進捗は?」
長田「平成25年度半ばくらいまでに各市町村でニーズ調査をする予定。ニーズ調査の検討状況だが、次世代雇用計画の中で先行してニーズ調査を実施した。その時の経験から課題を分析し、フィードバックして質問紙を作成している素案を作成中。今後、いくつかの自治体でプレ調査を行い、検証した結果、最終的なニーズ調査の指針を示せればと思う」
 
質問者「働いている保育士の待遇改善も行うとしていたが、具体的にはどのように行うのか」
小宮山「財源の7千億のうち、4千億は量的拡大、3千億は質的拡大(ここの一部が待遇改善に当てられる)に使う。追加財源が確保が出来れば、6千億が質の拡大に行うので、待遇改善につながる見込みである」
 
質問者「地方版子育て会議は自治体が主体となって行われるか?住民が声を上げていかなければ行われないのではないか」
長田「努力義務があり、設置するよう自治体には言っており、説明も順次希望する自治体には行なっている」
駒崎「会議のメンバーの選定方法は?」
三上「自治体による」
 
質問者「認可基準がない自治体は認可基準をどう決めていくか?」
長田「基準は大きく、人的基準とハード面の基準の2つ。前者は全国一律で従うべき基準を国が示す。後者はおおまかな指針を国が呈示して詳細は自治体が状況に応じて決定する」
 
質問者「保育ママ制度では、保育者が経営者もしなければならず大変。小規模保育では事業者が間に入るようにしてほしいのだがどうか」
長田「義務化は難しい。公的給付は受ける上で事業体として運営して貰う必要はある。事業者が入るのか自治体が直接あたるのか、市町村は保育の事業計画を作る上で保育ママをどう位置づけるかも含め、行政がどういう役割を担うかを決める必要がある」
駒崎「事業計画に保育ママが盛り込まれていなければ出来ないのか?認可基準を満たしていれば阻むものではないのではないか」
長田「供給過多でない限りなどの制約条件は存在する」
 
質問者「保育ママは独自の資格制度が既にあるが、新システムではどうなるか」
長田「既存の制度の枠組みがあるものはそれをベースとすることになっている。保育ママは補助事業として既に存在するので、これがベースとなるだろう」
 
若干端折った部分もありますが、議事メモは以上で終了です。